市民のみなさん方へ (表紙) はじめに | 友人への手紙 | 恒久民族民衆法廷(2007年3月21日−25日、オランダ、ハーグ) [1] [2] 1. 恒久民族民衆法廷の創設と裁判権 恒久民族民衆法廷(PPT: Permanent Peoples' Tribunal)はいかなる国家の権威からも独立した国際世論の法廷であり、人権の侵害と民族民衆の権利侵害についての事件を審理する。 恒久民族民衆法廷(PPT)を推進したのは民族民衆の権利と解放のためのレリオ・バッソ国際財団である。この法廷は1979年、イタリアのボローニャで創設された。そのメンバーとして法律専門家、作家のほかに、31カ国から(5人のノーベル賞受賞者を含む)文化的・社会的指導的人物など、広範囲の人びとが参加した。PPTのルーツにある歴史的経験は、ベトナムの戦争犯罪を裁いたラッセル法廷(1966年−67年)と、ラテン・アメリカの独裁体制との闘い(1974年−1976年)である。PPTの判決がもつ重要性と説得力の根拠は、大義のもつ道徳的重要さ、大義が主張に与える信頼性、大義が国連人権委員会で承認されていることにある。 この法廷は、被害者あるいは被害者を代表するグループや個人が提起した告訴を審理する。恒久民族民衆法廷(PPT)はすべての当事者に呼びかけ、被告人は彼らの主張を述べることができる。審判員は事件ごとに選ばれ、恒久審判員名簿に記載されているメンバーと、能力と清廉さを認められた個人の連合体である。 1979年6月から現在まで、恒久民族民衆法廷(PPT)の開廷は32回を数える。 創設後ちょうど一年の1980年、恒久民族民衆法廷はフィリピン民族民主戦線(NDFP: National Democratic Front of the Philippines)とモロ民族解放戦線(MNLF: Molo National Liberation Front)からの訴えにこたえて、マルコス独裁体制下の人権問題を審査した(10月30日から11月3日、アントワープ)。5日にわたる審問と審議のあと、恒久民族民衆法廷(PPT)が出した判決は、政治的抑圧とフィリピン民衆の権利侵害という権力濫用の罪で、マルコス体制の有罪だった。PPTは、マルコス政権と、米国および他の外国政権との政治的・経済的・軍事的共犯関係についても有罪とした。 << TOP PAGE |